大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)4554号 判決

按ずるに本件起訴状には被告人の不正に逋脱せんとした入場税額六千九百三円と表示されているのに拘わらず訴因の変更の手続をとらずに原審はこれを金五千七百三円と認定していることは論旨指摘の如くである。しかし刑事訴訟法第三百十二条の趣旨は主として被告人の利益を保護する点に存するから公訴事実の同一性が保持せられ且被告人の防禦権を侵害しない場合には訴因の変更の手続を経ずとも裁判所は起訴状に記載された事実と異る事実を認定することは何等違法を以て目すべきではないと解すべきである。而して本件についてこれを考えるのに公訴事実と原判示の事実との間に同一性の存することは勿論原審の認定した事実は訴因たる事実よりもその範囲において被告人の利益に縮減せられているのであるから原審が訴因変更の手続を執らずして訴因と異る事実を認定したことを非難する論旨は理由がない。

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